丸の内熱供給は、親会社である三菱地所をはじめとしたエリアの主要な土地建設所有者を中心に設立された。
三菱地所は、有楽町エリア・丸の内二丁目エリアでの地域暖房などの経験を活かし、大手町から内幸町に至るより広い地域における地域冷暖房の必要性を認識し、新会社設立の案を作成。14社が設立発起人となり、1973年7月31日に創立総会が開催され、丸の内熱供給が成立した。
1976年に当社初の地域冷暖房プラントである旧大手町センターが竣工し、大手町地域への蒸気・冷水の供給を開始した。1980年には内幸町地域、1984年に丸の内一丁目地域にもメインプラントを構え、業容を拡大していった。
1984年には収支が好転し株主への配当を開始することができ、1990年には増資を行い資本金は15億円となった。会社設立から20年の節目を迎える1993年には、株主数は38社に増加し、従業員数も役員8名、常勤者126名を数えた。
1990年には三菱地所から設備を受け継ぎ、有楽町地域での蒸気供給を開始している。同様に丸の内二丁目地域においても、1997年より蒸気供給を開始した。また、エリアで発足した「大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会」にインフラ部門のメンバーとして参加し、日本を代表するビジネスエリアの再開発に積極的に参画していった。
1998年に熱供給規程における熱量の単位を国際単位系である「ジュール」へ変更。供給エリア一帯における建て替えやリニューアルが加速するとともに、当社においても、プラント竣工以来使用してきた設備の更新工事が本格化していった。2001年に環境庁が環境省に昇格、2003年のエネルギー基本計画の策定や2005年の京都議定書の発効など、国内における環境問題の意識は変化しつつあった。当社に期待される役割も、当初の都市公害対策としての役割から、温室効果ガス削減や省エネルギー社会の実現へと変化していった。
2000年代に入り始まった大手町連鎖型都市再生プロジェクトに合わせて、当社は大手町地域において複数のプラントを新設し、同時に地下の配管ネットワークで連携を進めていった。2016年には当社発祥の地である大手町センターのリニューアル工事にも着工した。
2011年の東日本大震災以後、社会的に防災や事業継続への意識が高まり、当社も安定電力の維持や非常時体制の高度化を目指した。有楽町地域では2018年、丸の内二重橋ビルプラントの竣工により、従来の蒸気供給に加え、冷水・電気の供給も開始。
熱供給業界では2016年の熱供給事業法の改正も大きなトピックであり、会社として社会の変化に対応していく時代となった。
2020年には新しい大手町センターや丸の内仲通り洞道といった、今後のエネルギー供給の中心となるプラントや設備が竣工。さらに、2050年の脱炭素社会実現を目指す新たな中長期計画『MARUNETU VISION2030~Beyond DHC! 脱炭素社会へリードする新しい丸熱へ~』を策定した。
今後も当社の供給エリアでは大規模な再開発が控えており、時代の変化に的確に対応しながら、次の50年も街の発展を支え街とともに歩み続けていく。